ゴードン R . マッキナリー
2023-2024年度 国際ロータリー会長


平和の実践

 9 月 21 日は「国際平和デー」です。国連総会はこの日を、24 時間の非暴力と停戦を実践することで平和の理念にささげる日と宣言しました。

 しかし、行動人たる私たちにとって、戦争を回避するだけでは十分ではありません。世界に希望を生み出すには、積極的に平和を訴えていかなければなりません。

 では、どこから始めたらよいのでしょうか? 世界ではあちらこちらで武力紛争が発生しており、避難民の数はかつてないほど増加しています。支援の機会は無数にありますが、暴力と苦難の連鎖も終わりがないように見えます。

 私からのアドバイスは、大きく考えながら小さく始めることです。2020 年 3 月の、国家間では緊張関係にあるパキスタンとインドのロータリー会員の行動がインスピレーションを与えてくれます。

 パキスタンとインドからそれぞれ約 50 人のロータリー会員が、パキスタンにあるカルタルプール・サヒブ寺院で会合を持ちました。ここは、両国で信仰されている宗教であるシーク教の創始者、グル・ナーナクを祭る寺院です。 両間の緊張により、インドからの多くの宗教巡礼者が長らくこの寺院を訪れることができませんでした。しかし、パキスタンは 2019 年、ビザ不要で巡礼できる回廊を築いたのです。今年初め、両国のロータリー会員が、再度、この寺院で会しました。その参加者数は約 2 倍となりました。

 平和を築く取り組みには、勇気と大胆さが必要です。かの国のロータリー会員が行ったことはまさにこれに当たります。コロナ下でしたが、パキスタン政府は、インド人巡礼者をカルタルプール・サヒブ寺院に招くことで、平和に向けて重要な一歩を踏み出し、パキスタンのロータリー会 員も、インドからのロータリー会員を友人や家族として歓迎し、次の一歩を踏み出しました。これこそ、積極的平和の実践です。

 平和構築者たちはここで満足したわけではありません。今年の集まりでは、クラブの代表者が、お互いの国について学び合うための長期的なコミットメントを示すため、双子クラブの締結に調印し、さらなる平和構築活動のために協力していく決意を示し、ビデオチャットで 合同例会も開きました。

 異なる文化圏の人たちとコミュニケーションを取り、その特色を学ぶことは非常に大切なことであり、ロータリーを通せば、こういったつながりを簡単に築くことができます。国を超えた異文化間の関係を構築する方法の一つは、現行のプログラムを利用し、バーチャルな手段 で意見を交換することです。

 バーチャル交換では、世界の異なる地域の人々がより容易につながり、自国の伝統、考え方、価値観などを紹介し合うことができます。バーチャル交換によって、世界への扉がさらに開かれ、料理教室、外国語の習得、グローバルなインパクトをもたらす奉仕プロジェクトの立 案などを行うことができるでしょう。

 これらのオンラインでの交流は、新たなつながりを生み、異なる社会を尊重する機会となります。そこで学んだ知識を取り入れ、人類のために生かしていくことが次のステップです。

 このツールが私たちに何をもたらすかが楽しみです。


(RI指定記事  提供 : ロータリーの友 )
2023/09/01